富士重工業といえば、SUVなどマニア向けの車の販売実績が良く、好調な業績を続けています。
一般的に該社は車のイメージが強いですが、車以外に航空機部門もあります。
この航空機部門は防衛省と取引がありますが、この取引に対し訴訟を起こしています。
訴訟の内容は、
- 防衛省が富士重工業から戦闘ヘリを約60機購入する方向で購入契約を結んだが、色々な状況変化で購入を13機で停止したことが起因となり350億円の支払いを求める訴訟に踏み切る。
- 2014年2月の1審で請求は棄却される。
- これに対し富士重は上告。
- 2015年1月 東京高等裁判所は原告側の請求を認め、国に350億円の支払い命令判決を言い渡した。
- 2015年2月 国が上告。
となっています。
なぜこの様な内容を取り上げたかと言いますと、該社が訴訟に勝つと350億円+金利分の特別利益が入ります。
よって該社の自己資本比率が50%を上回り、株主還元を強化するとの観測が出ているためです。
つまり、該社は現在のところ業績は絶好調ではありますが、企業体力強化を優先し配当性向を20%と低めに抑えてきましたが、いよいよ株主還元策の強化を発表するのではと推測されています。
懸念される事として、防衛省との関係がまずくなるのではと考えますが、2015年9月2日に発表した該社のパブリシティの内容を下記します。
《 富士重工業は、本日9月2日、防衛省との間で陸上自衛隊向け新多用途ヘリコプター(UH-X)開発プロジェクト立ち上げ事業の試作請負契約を締結致しました。
当社は、米国ベル・ヘリコプター・テキストロン社(本社:米国テキサス州、ジョン・ガリソンCEO、以下ベル社)と、高い信頼性と汎用性を持ち捜索救難等で活用される412シリーズの最新型ヘリコプターである412EPIの発展型機を「富士ベル412+(仮称)」として共同開発し、この機体を共通プラットフォームとして陸上自衛隊向けUH-Xを開発する計画です。
民間機として開発する富士ベル412+は、412EPIのドライラン能力を向上させるとともに、トランスミッションの出力向上、機体の耐久性の改善など、性能と安全性を向上させた機体であり、自社で開発した金属表面加工技術や、民間機大量生産などで培った高効率生産技術など、当社の独自技術を最大限に投入する計画です。販売につきましては、ベル社のネットワークを活用し、協力して世界に向けて販売する計画です。
当社は、ベル社との55年にわたる強固なパートナーシップのもと、当社航空宇宙カンパニー(栃木県宇都宮市)にUH-Xと富士ベル412+の製造ライン、及び維持整備体制を構築し、共同でヘリコプター事業を展開していく予定です。 》
これを見る限り、訴訟とビジネスをきっちり区別し、良好な関係を維持しているものと推察できます。
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